最後の医者は桜を見上げて君を想う
こんにちは。薬剤師のHです。今回もおすすめの本を紹介させていただきます。
最後の医者は桜を見上げて君を想う
著:二宮敦人
患者の命を救うことに執念を燃やす天才外科医と、「患者は死を選ぶ権利がある」という信念を持ち通称「死神」と呼ばれる医師、それぞれ正反対の考え方をする医師を主人公にした物語です。
現代の医療では治療や完治が困難な難病を発症してしまった登場人物達が、この医師達と関わり闘病していく姿が描かれています。
「患者を救おうとするあまり、時として病気との戦いを強いる。最後まで、ありとあらゆる方法を使って死から遠ざけようとする。患者の家族も、それを望む。だけどそれは、はたして患者が本当に望んでいた生でしょうか?医者や家族の自己満足ではないか?患者が他人の自己満足に巻き込まれ、死に敗北するようなことがあってはなりません」
「死に振り回されると、往々にして生き方を失います。生き方を失った生は、死に等しいのではないでしょうか。逆に、生き方を維持して死ぬことは、生に等しいとは言えないでしょうか」
「理不尽な病気にかかったと考えるから抗いたくなる。そうではなく、これが自分の個性なのだと、開き直ればいい。そうすれば、その自分には何ができるのか考えられる。叶わない希望を捨てた時、新しい希望を見出だす準備が整うんだ」
といったとても深いセリフがあり、闘病している人の気持ちをわかってくれる人がいるのだなということや、戦い続けるだけではどうにもならないことがあり辛い時は諦めても良いのだと応援してもらっているような不思議な気持ちになりました。
また、難病を抱えた方々にとっては、医療従事者からの治療への積極的な呼び掛けが、時には心を深く傷つけてしまうことがあるのだということを考えさせられました。
皆様ぜひ機会がございましたら、ご一読ください。